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俺はずっと苦しかった。
突然、家族と言われ知らない人と生活をすることになって。
でも両親も姉も優しい人で、なんで忘れてしまったんだろうそう心には疑問があった。
だけど姉さんの旦那さんを見た時に、心に刃物が刺さったように鋭い痛みを感じた。
とても怖くて嫌なことを思い出してしまいそう。
顔を見ることも、声を聞くことも怖くて、会いたくなかった。
だけど、あの人と2人で食事をした次の日に、俺は恐怖感を感じなくなっていた。
いつの間にか勝手に眠ってしまっていた書斎を出るとお義兄さんは頭を下げて俺に謝っていたが何のことかさっぱりわからなかった。
でも、恐怖はなくなったが、次に感じた気持ちは決して表にだしてはいけないものだった。
俺は抱いてはいけない感情をお義兄さんに感じていた。
苦しいのにあの人のことばかり考えてしまう。
俺の気持ちがばれないように必死だった。
だけどそれももう抑えられなくて、あの人にキスをしてしまった。
驚いて俺を見る目に、やっぱりこの気持は伝えるべきではないと思ったが、口がどんどん言葉を発していた。
言葉も感情もいっぱいでもう耐えることができなくなりそうだった時、あの人が話してくれた。
記憶を失う前の俺たちの関係を。
恋人同士だったと教えてくれた。
どうやって知り合って、どうやって恋に落ちたのか全て教えてくれた。
そして別れたわけも。
俺の感じていた気持ちが記憶を失う前にも持っていたものだったと知って嬉しかった。
そしてあの人と関係をもっていたことも。でも同時に、今の俺の存在はやっぱ邪魔なものだと思えた。
俺とあの人が別れた理由が、姉との結婚なら、今だって状況は変わっていない。
むしろ結婚していて、状況はわるいくらいだ。
一度別れて、今こうして新たに芽生えた気持ちを持っていたとしても、叶わぬ恋にすぎない。
不倫なんてできない、しかも実の姉の旦那に、同じ男なのに。
お互い好き同士だったのに、別れたのだから今さらどうこうできることではない。
俺が記憶を失ったのだって、あの事実から逃げたかったため。
記憶を失うほどの気持を今のおれには何もすることはできない。
自分の気持ちを壊さないために必死だったのに、今さら知ってしまった事実に、気づいてしまった感情に後戻りすることはできなかった。
そして・・・
次へ。