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一緒に住み始めて数日後の休みの日、忍とある場所へと来ていた。
忍はどこへ行くかもわからず、俺を見る目も少し訝しげ。
「宮城、何処行くんだよ?」
先ほどから同じ事を聞く忍に俺は含み笑いをしたまま教えない。
そんなやりとりが続くと目的地へ着いた。
「ほら、着いたぞ。」
「?」
未だ訳が分からないという風な忍は車から引きずり下ろす。
「あ、ここ・・・」
「1年ぶりだな。」
忍を連れてきた場所は1年前に、ドライブがてら寄った教会。
今日も去年同様に晴れている。まるで1年前のように。忍の手を握ると教会の中へ入っていく。
「おわっ、宮城いいのかよ!?」
焦る忍をよそに俺の心はどんどんと幸せで満ちてくる。
6月には珍しく今日は結婚式は行われていない。誰もいな教会は静かで、俺たちの声だけが響く。
「俺たちはどうしたってこの国で生きてる限り結婚することはできない。」
俺の言葉にビクッと忍は身を震わせる。そして繋いだままの手を上げると忍の左手の小指に指輪をはめてやる。
驚いた忍は俺と指輪を交互に見ている。そんな可愛らしい反応に笑がこぼれてしまう。
「小指には『運命の赤い糸』があるっていうだろ?だから忍が迷ったって探せる。」
恥ずかしいのか嬉しいのか、顔を真赤にしている忍の小指を俺の小指と絡ませる。俺の指にも忍と同じ指輪がはめられている。
「これをしている限り、何処にいたって繋がっている。忍が迷わないように俺が導くから。もし俺が迷ったら、今度は忍が導いてくれな。」
俺の言葉で今にも泣きそうな忍を見つめ微笑む、もう限界なのか涙を流した忍の目元に唇を落とす。
「宮城・・・俺・・・俺・・・」
「忍、愛している。」
今度は指をしっかり絡ませ、泣いている忍へ愛を囁く。これからの誓いをするように。
「俺も、愛してる・・・」
忍を抱きしめ、キスをする。
静かな教会ではステンドグラスから光が漏れ俺たちを照らす。
それだけが俺たちを祝福してくれているように感じた。
周りからみたら俺たちは間違った行動をとっているのかもしれない。
だけど、俺たちはもう迷わない。まわりから何を言われようと、俺たちの決めたこと。
幸せだから。
もう、迷わない。
『運命』で結ばれた糸(指輪)があれば、俺たちは迷うことがないのだから。
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