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純情テロリスト「ロマンス~愛に気づいてください~」
続きもしくは下に下がってお読みください。
忍と宮城の突然の別れ。
なにも告げず去っていった忍に宮城は・・・
4年後に、再び忍と出会う。
こんな話の予定。
続きもしくは下に下がってお読みください。
梅雨の時期6月某日。
その日は、久々に青い空が晴れわたっていた。
毎日が平和。穏やかな日々。
こんな日々を送れる俺は幸せだと思う。
毎日仕事で疲れて帰っても待っていてくれる人がいる幸せ。
自分を待っていてくれる存在がいるだけで、心が満たされる。
俺、宮城庸35歳は文学を教えている大学教授。
講義や論文、人間関係、疲れる事は多い。
好きな文学だって、たまに自分の重りになることもある。
唯一重りにならず。それを取り除いてくれるものがある。
「あ~~、今日も疲れたなぁ。」
「お帰り。」
「おぉ、忍ただいま。」
まるで自分の家にいるかのように、居座るそいつ、高槻忍18歳。俺の働く大学の文学部学部長のご子息様。
1年前までオーストラリアに留学していて、急に帰国してきたかと思えば「あんたのこと好きなんだけど」と唐突に告白された。
最初は考えてることが訳わからなくて、俺には理解不能な人物だった。
だけど猪突猛進してくるコイツがいなくなって寂しさを感じている自分がいた。
もうこの時には後戻りは無理だったのかもしれない。
今まで迷惑の存在でしかなかった忍のことをずっとずっと、ストーカーかと思うくらい考えていた。
気づいたら、俺の中にアイツの存在は大きくなっていた。
それからいろいろなんやかんやあり、俺たちは恋人同士になったわけだが。
「宮城、何ぼけっとしてんだよ?」
「あ?いや別に・・・ごめんなほっておいて。」
ちゅっ
「ん・・・ぁあ・・ん、だめぇ・・・」
忍との最中の間にもコイツのことを考えてぼけっとしていた、俺はつくづく忍にはまってしまっていると思う。
だけど忍が可愛すぎて、俺だけ求めていて欲しくて、俺だけしか知って欲しくなくて、いつも無理をさせてしまう。
泣いて痛いのを我慢する忍を見て安心する自分もいる。
「ゃ、あん・・・はぁ・・・いっ・・・みや・・・ぁぁああ」
「しの、ぶっ・・くっ・・・」
「あ!ぁぁぁあああああっ!!!!」
達した忍は一瞬気を失った。
大丈夫かと心配し覗き込めば目を静かに開け俺に微笑み掛けた。
そんな忍が愛しくて額にキスをし、それから唇へと移る。
そっと、だけどしっかりと忍を抱きしめ眠りにつく。
忍は温かい、まるで赤ん坊を抱いているように体温が高く、安心を与えてくれる。
人が冷たいのは怖い。
俺にとって人の温かさは人が生きている証拠として絶対になっている。
忍を抱きしめいつもそれを感じている。
でも、それを感じることができればいいのは忍だけでいい。
忍さえいてくれれば、俺は充分だから。
「あ、結婚式やってる。」
「ジューンブライドかぁ。」
今日は、久々の休日で2人で出掛けた。
忍が遠出したいと言い出したから、俺たちの事を知る人がいない場所へと車を走らせた。
ふと思い立った所で車を停め2人で知らない町を歩く。
俺たちが普通の、男と女の恋人同士なら手でも繋いで歩いただろう。
だけど、どこに行ったって、俺たちが男同士というのには変わりない。
やはり人目を気にしてしまうのは俺の方で、忍は未だにそれに対して言い切れぬ思いを抱いていると思う。
だけど忍は何も言わない。
俺の気持ちを知っているから。
「6月なんてよくこんなジメジメした時期に結婚式なんてやるよなぁ」
「お前なぁ。夢のないこと言うなよ。6月の花嫁は幸福になるんだぞ。」
「だって、俺関係ねぇし・・・」
「!!・・・・・・」
今の忍の言葉に何も言葉が返せなかった。
忍は男であり花嫁にはなれない、そこで幸福というものから離れてしまう。
だけど忍がしっかりとした女性と結ばれ結婚すれば花嫁さんが幸福を手に入れることは出来ると思う。
だがしかし忍はそれを望まないだろう。
俺と同じで忍もその若さで一生を俺と生きると決めているのだから。
それが嬉しいと思う反面、罪悪感も感じる。
こんな若い奴の人生を狂わせていいのだろうか、俺にそんな権利はない。
それでも、俺を求めてくれる忍の気持ちには応えたい。
忍が俺を求めてくれる限り。
「大丈夫だよ、お前には俺がいる。」
「うん。・・・宮城、好きだよ。」
「あぁ、俺もだ。」
だけど、俺は大人で世間体に縛られる。
それを、振り切れないのは俺が弱いから。
自分の気持ちだけではどうにもならないんだと、感じる日々がすぐそこまで来ている。
次へ。
「は?あの今なんと仰いましたか?」
突然学部長に呼び出され、学部長の部屋に訪れた。
呼び出され、話があると言われればいつも何かしら頼まれごとをされる。
理沙子を紹介された時も、忍を預かってほしいと言われた時も。
今回も何事かと思い行ってみれば、耳を疑うことを言われた。
「宮城くん、再婚する気はないかね?」
「え、あの、私はまだそういった相手が見つかっていないので、考えていなく・・・」
「いや、そうではなく・・・実に言いにくいんだが、その・・・理沙子と再婚する気はないかね?」
突然の話、再婚に、その相手として元嫁の理沙子をすすめられた。
一度離婚していて、別れた後も理沙子になんの未練もないと気がついた自分がいた。
そんな気持ちでよく結婚生活が続いたと思う。
だけど理沙子と次はないと思っていた。
俺もよりを戻す気もなかった、アイツはアイツで他に彼氏様を作っていたし、もう俺は結婚などしないと思っていた。
「あの、考えさせてください。」
俺はそう答えていた。
すぐに断ればよかったのに、言葉は出なかった。
きっと相手がいると答えればそこでその話は終わっていただろう。
だけど俺は言えなかった。
どうして言えなかったのか、自分でもわからない。その後、仕事は全然捗らなかった。
先ほど言われた言葉が頭をグルグルとしていたから。
今日は帰ろう、きっとここにいるから学部長の言葉が頭から離れないんだ。
今日の講義はもうないことから、仕事は家に持ち帰ることに。
きっと忍に会えば余計な事は考えなくてすむはず。早く帰ろう、早く忍の顔が見たい。
大学から車を走らせ自宅へと急ぐ。車を止め、急いで部屋へと掛けて行く。
部屋のドアを回せば鍵が開いていなかった。いつも来ているのに今日に限って忍が部屋にはいなかった。
焦っていた心が急に崖に突き落とされるような感覚。
ただ忍が部屋にいないだけなのに。
部屋の前で立ち尽くしていると、後ろから声がかけられた。
「今日、早いじゃん。」
「忍?」
そこにはスーパーの袋を両手に持ち、今帰ってきたばかりの忍がいた。
「早く、部屋に入れてよ。」
当たり前のようにそう催促する忍が愛しくて、気づいたら抱きしめていた。
ここがマンションの廊下だってことはわかっている。
もしかしたら人に見られてしまうことも。
だけど、今は抱きしめたくてしょうがなかった。
「わっ!!み、宮城、ここ?!」
焦る忍は俺を引き離そうとする。
それがまた煩わしくてたまらない。
片手で鍵を開けドアを開け中に入ると、忍の唇を塞いでいた。
「ふぁ・・・ん・・・みや・・・・ぁ」
クチュクチュと舌が絡まる水音が響く。
忍はその音に羞恥し顔が赤くなる。それがまたさらに俺を煽ることになるなんて忍は気がついていないだろう。
どれくらい続けていたかわからないが、その行為は忍が腰を抜かしたことによって中断された。
「忍っ!!大丈夫か??!!」
「はぁはぁ、だ、大丈夫だけど・・・。宮城どうしたの?なんか変だけど。」
「いや、別に・・・」
俺でもなんで急にこんなことをしてしまったのかわからない。
忍を支えながらリビングへと行く。忍をソファへ座らせ、忍がスーパーで買ってきたものを冷蔵庫へ入れる。
いつもながら青々と水みずしいキャベツが冷蔵庫を占拠する。
まるで俺の心の中に居座る忍のように、なくそうとしてもそれは消えることのない存在。
「忍はそこに座ってろ。」
「なんで?」
「動けないだろ?今日は俺が作ってやるから。」
「な!?動けなくしたのは宮城だろ!!」
顔を真っ赤にし、叫ぶ忍を見て笑ってしまう。
俺の反応に怒り立ち上がろうとするが上手く足に力が入らなくよろけてしまった。
急いで忍に近寄り起こせば、抱きついてきた。
顔を俺の胸に埋め、耳が真赤になってることが今は顔中が赤いであろうことを教えてくれる。
「宮城、夕飯なんていいから・・・」
「忍?」
「宮城がほしい・・・」
「また立てなくなるぞ。」
「いい・・・だから、宮城・・・しよ」
真赤の顔で見られ触れるだけのキスなんかされればすぐに俺の理性は切れてしまう。
それを合図に、今度は俺から深い口付けをしてやる。
忍もそれに応えるように一生懸命舌を絡ませてくれる。
そんな一生懸命の忍に応えようと俺も可愛がるように忍を抱く。
行為の後は、いつも寝ている忍を眺めタバコを吸う。
頭を撫で、忍の柔らかい頬を触る。
気持ちよさそうに寝ている忍を起こさないように。
今どんな夢を見ているんだろう?幸せそうな寝顔をして。その中に俺はいるのだろうか?
「ん・・・みや、ぎぃ・・」
一瞬起きたかと思ったが寝言のようだった。
俺は忍の夢の中でもいるようだ。笑った忍を見てふと理沙子と重なって見えた。
何故急に理沙子を思い出したのかわからないが、アイツも普段笑顔を見せるような奴ではなかった。
それにさすが姉弟と言うべきか、似ている。
でも違うところと言えば、俺には男の忍が笑うほうが可愛く見えてしまう。
それはそこに感情があるかないか。
まったく俺も重症だと思える。今日学部長から聞いた話は明日しっかり断ろうと決めた。
俺には忍がいる悩む必要なんてないんだ。
気持ちが軽くなり、眠気がさしてきた。寝ている忍の額にキスをし忍の横に体を滑り込ませる。
寝息が聞こえるくらいまで引き寄せ包み込みながら眠る。
次へ。