「If winter comes,can spring be far behind?」①

「If winter comes,can spring be far behind?」
(冬来たりなば春遠からじ)

御堂さん記憶喪失ネタです。
念願の（？）、克哉切ない話。になる予定。


では、続きまたは下に下がってお読みください。

あなたはなんて言ったんだろう。


『お前はだれだ？』

昨日まで、名前で呼んでくれていたのに。


『出ていけ！』

昨日まで、当たり前のようにあなたの隣にいたのに。


『君といると苦しい』

一緒にいるだけで幸せだったのに。


「If winter comes,can spring be far behind?」


まるで、ついこないだが夢のようだった。
今は悪夢を見ているように苦しい。
それが現実なんて……


「では、克哉行ってくる。」
今日御堂さんは、休日にもかかわらず仕事が入り朝早くから出掛けていった。
手伝います、といっても御堂さんは『家でゆっくりしていろ』と言って一人で出掛けていった。

あの時に無理矢理にでも付いていけばよかった。

オレの元に帰ってきた御堂さんにあんなことを言われるなんて……


御堂さんのいない家は、どこか寂しく、どこか虚ろな感じがする。

掃除洗濯洗い物が終わり、やることのなくなったオレは手持無沙汰で困っていた。
ソファーに座ってテレビを見るが、頭に入ってこない。
本を読むが、本を見つめたまま目は字を追わない。

こんなにもオレはやることがないのだろうか。
御堂さんの家に引っ越してから、オレはこんな長い時間一人でいたことがない。
いつも御堂さんが隣にいた。
いつも御堂さんが一緒にいた。

それに今日はとても胸騒ぎがする。
朝、御堂さんを見送ったときから不安が心に残る。

はやく御堂さん帰ってきて。


オレは気分転換に今日は夕飯を作ろうと思い、外に買い物に行っていた。
あのまま家にいたら、どんどん気持ちは沈んでいくから。

御堂さんのために、御堂さんのことを想いながら、料理を考え、食材を選び料理をしたかった。

そしたら不安なんてどこかへ飛んでいってしまうだろうから。

夕飯を作ったら御堂さんはなんて言ってくれるかな？

帰ってきたら、最初になんて言うんだろう。

驚いて、

笑ってくれて、

そしてなんて言ってくれるんだろう。


そう考えてるうちに、買い物が終わりマンションまで着いていた。
鍵を開けると、玄関には御堂さんの靴が置いてあった。

御堂さんが帰ってきたんだ。
オレは嬉しくて、リビングにいるであろう御堂さんの元に急いだ。

「御堂さん！おかえりなさい！」
オレは嬉しくて、声にそれが出てしまう。

だけど、振り向いた御堂さんの眉はひそめられ、鬱陶しいものを見るような目だった。

それはまるで、初めて会った時のように。

あの接待が行われていた時のように。

朝の不安がまたわきだす。心からどんどんどんどんわきだしてくる。


「お前は誰だ？」

御堂さんに最初に言われたのはこの一言だった。

オレの心からは、沢山の不安が溢れ出して、それは哀しみに変わった。

ドサッと買い物袋が落ちる。


この人は何を言っているんだろう。

オレは佐伯克哉なのに。

朝まで『克哉』と呼んでいたのに。


オレは何も言えず、立ち尽くしていた。 



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「If winter comes,can spring be far behind?」いかがでしたでしょうか？
この英語タイトルは「冬来たりなば春遠からじ」です。
念願の克哉切ない小説ですｗｗ
しかも御堂さんに記憶喪失になってもらいました（笑
切ない話にわくわくしています（笑


ご意見ご感想などあったらうれしいです。

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