[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
~True Love~編です。
続き、もしくは下に下がってお読みくだい。
「教授、落ちましたよ」
「ん?あぁ、ありがと。」
弘樹は落ちていた物を拾って宮城に渡した。
「クローバーの栞ですか?」
「あぁ」
========================
忍がクローバーを探すのを止められないまま2・3日が経ってしまった。
俺は何も手伝えることがなくて
忍を見守ることしか出来なかった。
毎日必死に
見つけると嬉しそうに
今日も忍の傍に付いていよう。
何もできることがないのならば、一緒にいて寂しい思いをしないように。
そう思い忍の病室に向かっているとと医者や看護婦が慌ただしく入っていった。
不安に思い病室に入れば、沢山の機械に囲まれた忍がいた。
回りには医者や看護婦もいて、なにやらやっていた。
また俺は見ていることしかできない……
忍の姿を見れば苦しそうにしていて、俺を見つめ悲しそうな顔をしている。
今にも泣き出しそうに
自分を責めるように……
「宮城さん…やれることはやりつくしました……覚悟を持たれたほうがいいでしょう……」
医者はそう一言残すと看護婦と共に病室を出ていった。
覚悟?
忍が死ぬなんて覚悟を持たなくちゃいけないのか?
そんな覚悟……
「みや…ぎ……」
忍に呼ばれ、はじめて忍に近寄る。
俺を手繰り寄せるように手を伸ばして
「忍……」
「おれ…行かなきゃ…クローバー………探し、に……」
もう本当は自分の力で起こすのも大変な体を、一生懸命に動かそうとしていて……
「忍…もういいから……もう」
「ま…だ、集まってないんだよ……」
握られたクローバーを目の前に差し出される。
何日もかけて探し出したソレらは萎れていて
「17……しか集まってない……」
あんだけ必死に探しても半分にしか満たなく、それが悔しいのか忍は涙した。
「ごめ……みや、ぎ……俺には、こんくらいしか…してやれること…ねぇのに……」
「忍」
「でも、もう…探しにいけ、…そうにねぇや……」
苦しそうに、涙を流しながら
忍……十分だよ……
忍…俺は……
「17も集まれば十分だよ…」
もう探しに行けないと言った俺に宮城はそう言った。
泣くのを堪えているのか、少し目を細めて、だけど優しく微笑んでくれて
「17なんて、俺達の年の差と一緒だな。忍、2人で幸せって…どうだ?1人の半分の幸せを2人合わせて“幸せ”。俺に忍がいて幸せだったように、忍だって俺がいて幸せだっただろ?」
優しく微笑みながら宮城は俺の頭を撫でる。
宮城……幸せだった?
俺といて幸せだったんだ
俺だって同じだよ。
「うん……幸せだった」
「忍、2人で幸せだな。……忍好きだよ」
宮城はコクリと頷いた俺にキスをしてくれた。
やっぱ宮城は優しいや。
俺は宮城と一緒にいられて幸せだった。
沢山の『嬉しい』をもらって
沢山の『幸せ』をもらって
四ツ葉のクローバーで2人『幸せ』
もう我が儘は言わないつもりだったけど
宮城は優しいから許してくれるよね。
クローバーに俺の想いを混ぜて
ねぇ宮城、ありがとね。
いっぱいいっぱいの
幸せを
好きを
ありがとう
========================
「三つ葉のクローバーで栞なんて珍しいですね。」
栞を渡したあと、不思議そうに上條は聞いてきた。
「だろ。」
「?」
意味ありげに言うと上條は、わからないという風に反応をした。
忍が亡くなった後、忍が一生懸命集めてくれたクローバーの中にあるものに気が付いた。
忍が集めていた四ツ葉のクローバーには幸運以外に意味があったんだ。
『私を想ってください』
忍がずっと、自分がいなくても俺が幸せになれるようにクローバーを探してくれていた。
俺に『幸運』が訪れるように。
俺はもう一つの意味を知っていたから言えなかったんだ。
自分がいなくても、なんて思ってる忍に。
もし意味を知ったら探すのをやめてしまうと思ったから。
拒絶される気がして……
だけど、沢山のクローバーの中にあるソレに気が付いて俺は忍の本当の気持ちに気が付いた。
四ツ葉のクローバーに混ざる1つの三ツ葉のクローバー
それを見たとき、俺の目からは我慢していた涙が溢れ出してきた。
もう動くことのない、まだ温もりが残る忍を抱き締めながら、年甲斐もなく声を出して泣いた。
忍は四ツ葉のクローバーの意味も知っていたのかもしれない。
そこに混ざる三ツ葉のクローバーは忍の最後の言葉のように、俺の胸に深く深く刻み込まれた。
『私を思い出して』
最後の我が儘だから、俺を思い出してね…―――
忍がそう言っているように思えた。
忍、俺はいつだってお前を想ってるよ
クローバーなんかなくても俺に幸せは訪れる。
お前がいてくれた
沢山の『嬉しさ』や『幸せ』をくれた
これからもお前との思い出が俺を幸せにしてくれる。
だから俺はいつでもお前のことを思い出すよ。
俺が忍を想って、忍が俺を想う
2人で『幸せ』
おわり。
「あとがきという名の補足説明」へ(準備中)
UP 2009.01.28
************************
「沢山の好きをありがとう~True Love~」を読んで頂きありがとうございました!!
True Love編完結しました!
今までで一番最短で連載(?)終わりました(・∀・)
ご意見ご感想などいただけたら嬉しいです。
←気に入っていただけたらポチリと拍手をお願いします。
(拍手設置が上手くできなくてこんなになりました。。。笑)