[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
~True Love~編です。
続き、もしくは下に下がってお読みくだい。
●忍Side●
(…ん……ここ、どこだ…?)
気が付くと、真っ白な天井のある部屋で寝ていた。
たしか先生のお墓の前で、目眩がして
もうダメかと思ってた…
まだ生きてた
まだ少し生きてていいんだ……
「……ッ……」
寝ている暇はないと起き上がると、体が重く鈍く痛みがある。
早く、探さなきゃいけないのに……
ガラガラ
「……忍ッ」
扉が開いたかと思えば宮城が入ってきた。
「な……みや、ぎ……」
「忍、大丈夫かっ!?」
走って駆け寄ると、頭に顔に宮城の手が触れてくる。
なんで宮城がここにいるんだ?
ここは…?
「なんで……」
「忍、医者から聞いた……」
「ッ…………」
聞いた?
何を……?
病気を?
俺がいなくなることを?
知られた……
知られてしまった……
「…どうして俺に言わなかった?」
俺は答えられなかった
言えるわけがない
死ぬなんて
宮城の前からいなくなるなんて……
「……帰って」
「しの…」
「帰れよっ!!俺は……一人で…大丈夫だからっ………」
「……忍…」
それから宮城は、黙ってた俺に、逃げた俺に責めることなく「また明日くるから」と言って帰っていった。
静かな病室では俺の声が小さく響き、枕は温かく濡れた。
●宮城Side●
「…忍?」
朝、忍のいる病院に行けば病室には、忍の姿がなかった。
もう出掛けられる体ではないのに……
看護婦に聞いても、院内を探してもいなかった。
もしやと思い、昨日忍が倒れていた先生の墓場に向かってみた。
行けば、またそこに忍の姿があった。
今度は倒れているなんて事はなかったが、起きているのも辛いだろうに体を無理矢理動かして忍はそこにいた。
忍はいったい何をしているのか
必死に……
使命感のように……
「忍…」
もうやめてくれ……
「忍……」
お願いだから……
「忍やめろっ、病院に帰るぞ!」
「やっ……はな、せ…」
抵抗する忍を捕まえる。
逃げようとしても、もう力ない体では腕を振り切ることもできなくて。
「や…だ、はな……せよ。俺はま、だ……」
尚も抵抗する忍の目には涙が浮かんでいた。
「忍、なにをそんなに必死になってるんだ…」
忍の腕を捕まえ向き合う形になれば、浮かんでいた涙はボロボロと流れてきた。
「う、…お、俺は…ひっく……探す、んだよ……」
泣きながら忍は言った。
「何を探すんだ?」
「四ツ葉のクローバー……」
四ツ葉のクローバーをなぜ?
俺は意味が分からなかった。
自分の病気が治るようクローバーに祈るのか?
だったら尚更病院にいてほしい……
「みや…ぎ、大切な人を失う、気持ち知ってる……から…ズビ」
「それに……宮城は、優しくて……その人をずっと想ってるから…」
俺?
忍がクローバーを探してる理由は俺にあるのか?
「みや、ぎが俺の事……大切にしてくれてたのいっぱい知ってるから……俺、が……ひっく……いなく、なっ…たら、またいなくなった人を想い続けるのかなって………」
「それじゃ、ダメなんだよ……宮城は幸せにならなきゃ……。だから…姉貴に聞いたまじないをやってみようって……」
忍は泣きながら話続けた。
昔、理沙子に聞いた迷信めいたまじないを試そうとしたと。
信じてはいないがもしそれで願いが叶うならいくらでも信じると。
四ツ葉のクローバーを大切な人の年齢の数だけ集めると願いが叶う
それを信じて忍は、辛い体を引きずりながら俺のために四ツ葉のクローバーを探していた。
集めて願うんだ、俺がいなくても宮城が大丈夫なように……幸せになれるように……―――
そう忍は言った。
そんな泣きながら言われたら
そんな必死に俺のために言われたら引き留めることが出来なかった。
四ツ葉のクローバーの花言葉は幸運――
だけどな忍、クローバーにはまだ意味があるんだ……
「沢山の好きをありがとう~True Love~」⑥へ
UP 2009.01.27
ご意見ご感想などいただけたら嬉しいです。
←気に入っていただけたらポチリと拍手をお願いします。
(拍手設置が上手くできなくてこんなになりました。。。笑)