「５年目の恋」 ②

純情テロリスト「５年目の恋」


忍と宮城の突然の別れ。
なにも告げず去っていった忍に宮城は・・・
４年後に、再び忍と出会う。


こんな話の予定。






続きもしくは下に下がってお読みください。













 

それは突然だった。

もう見ることのできない、触れることのできない

愛しいやつの姿を見たのは。



『５年目の恋』



目の前に立つやつは、４年前に突然姿を消した忍。



仕事帰りに自宅までの道を歩いていたら、前に見覚えのある姿があった。

俺の見間違いかと、ただ見つめることしかできなかったけど

見れば見るほど、忍にしか見えなくて。

追いかけて捕まえていた。

「忍っ！！」

腕を取って振り向かせるとやはり忍だった。

振り向いたその顔は驚きと怯えでいっぱいで、


「忍、いままでどこにいたっ！！」

「みや…ぎ…」

「忍、答えろっ！！」

「……………」

「俺がどれだけ探してたと思ってるんだっ」

「……………」

ずっと黙っていた忍から出た言葉は

「うるさいっ…俺はもう宮城と別れたんだ！俺に構うなっ…」


酷く、俺の心を傷つけた。

いつの間にか、緩められていた力に隙をついて逃げられてしまった。





「…じゅ」

「教授っ」

「え？あぁ、上條か。」

昨日のことを考えていたら、ぼけーっとしてたらしい。

「どうかしたんですか？」

「いや、まぁ」

「珍しいですね、教授が悩んでるのも。まるで４年前のような……あ、いえすみません…」

４年前、忍がいなくなった時も俺はこうだった。
仕事にも身が入らず、毎日虚ろな日々を送っていた。
その時は上條にも迷惑をかけたし、それに気が付いてからは忍のことを考えるのはやめようとした。

せっかく４年たち、忍がいなくなったことになれていたのに、また触れることができる位置にいるなんて。
今度こそ忍を忘れられない。

「教授、先程学部長が部屋まで来てほしいと言っていました。」

「学部長が？わかった、行ってくる。」


すぐ、学部長のもとへと向かう。
こうやって呼び出されると、忍を預けられた時と似てるな。
そんなことにも忍を懐かしく思ってしまう。


コンコン


部屋をノックすればすぐに学部長からの返事はかえってきて中に入るよう促される。

「失礼しま……忍？！」

「宮城っ」

学部長の部屋には、学部長と忍がいた。

「急にすまんね、宮城くん」

「…いえ」

忍はいたたまれないのかそっぽを向いてしまった。

「忍の話なんだが。」

「忍…くんのですか？」


「父さんっ、それは！！」

「忍はいいから黙ってなさい。」

部屋に少しの沈黙が流れる。

「宮城くん、忍は婚約することになってな。君も一時は親戚だったわけだし伝えておこうと思ってな。」

「婚約…ですか…」


婚約……


忍が？


誰と？


まだ学部長は話してたけど、今の俺の耳には届かない。

ただ驚きと絶望感の中にいた。
先程のは聞き間違いではないかと考えたが、頭の中で学部長の言葉がはっきりとリピートしていた。




「５年目の恋」③へ



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「５年目の恋」②を読んでいただきありがとうございました。
突拍子もない話になってきましたΣ(°д°)




ご意見ご感想などいただけたら嬉しいです。
　←気に入っていただけたらポチリと拍手をお願いします。
　　　　　（拍手設置が上手くできなくてこんなになりました。。。笑）