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純情テロリスト「物好き」
未だに何故忍が自分なんかを好きだというのか不安に思う宮城
続きもしくは下に下がってお読みください。
いまだに思う。
なんであいつは俺なんかを選んだのかと。
17歳も年が離れてるし、とりわけカッコいいとも言えない。
大学教授っていったって給料がいいわけでもない。
あいつに聞くと『運命だから』って言うから最近の俺はそれで納得してしまっている。
先生も今の俺と同じことを考えていただろうか。
先生とも10歳離れていたし、いつも先生も今の俺と同じことを言っていたかもしれない。
でも一人でいる夜は考えてしまう。
何故だろう。
いつまで忍は俺のそばにいてくれる?
『物好や匂はぬ草にとまる蝶』
忍を想うたびに、頭の片隅にでてくる一句。
――百花が咲き競う春に物好きにも花も香もない雑草に止まっている蝶がいる。――
忍はまるでその蝶のようで、あいつなら回りに可愛い子が沢山いるだろうに。
雑草のような俺の回りばかりを飛んでいる。
いつ飛び立ってしまうかわからぬ不安。
可憐に舞う蝶を捕まえ、羽をもいでまで傍に捕らえてしまいそうで。
忍いつまで俺の傍にいる。
俺がお前の羽を取ってしまわないように、
「おっさん、また変なことグチグチ考えてるんだろ。」
芭蕉の句集を読んでいたら、急に忍に声をかけられた。
さっきまで部屋にいなかったのに、いつのまに。
「忍?」
「ほら、ここの句。あんたさっきからここばかり見てる」
忍が指差すのは俺が見ていた句で。
「俺は頼まれたってあんたから離れてやんないからな」
まったく、こいつはなんで俺のほしい言葉をこうも与えてくれるんだ。
「忍」
「な、なんだよっ?俺は本気だからな…」
さっきは強気に言ったのに、俺に否定されると思っているのかビクビクしてる。
そんなことはないのに。
ただ嬉しいだけ。
俺もこいつみたく不器用だな。
『ありがとう』って言葉一つでも素直に言えればいいのに。
だけど、こいつの顔を見て言えそうもないから卑怯な俺は、お前を閉じ込めながら言うんだ。
「忍、ほら」
「え、あ…うわっ」
腕をひっぱれば簡単に俺の中に倒れ込んでくる。
それをすかさず逃げないように抱き締める。
「忍」
「な、なんだよ」
最初こそ暴れてた忍も、今は大人しく俺に抱き締められている。
いつもよりもしおらしいこいつを見て可愛く思ってしまう。
「忍、絶対離さないからな。」
俺の言葉に驚いたのか忍は顔を上げた。
その顔は真っ赤で、恥ずかしそうにしている。
そんな姿も可愛くてまた抱き締める。
俺は羽をとらなくてもいいくらいに、お前が俺の傍を安心しずっと舞っていられるように、お前を大切にするから。
END
参考文献:袖珍版 芭蕉全句
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「物好き」を読んでいただきありがとうございます!!
芭蕉本を県立図書館で借りた馬鹿は私です!笑
パラパラ立ち読みして、テロっぽいなと思いつい借りちゃいました。。。
不安な宮城好きですv
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(拍手設置が上手くできなくてこんなになりました。。。笑)