「涙のわけ」

純情テロリスト「涙のわけ」






宮城が帰宅すると忍が泣いていて･･･






続きもしくは下に下がってお読みください。

部屋の真下あたりの路地に通りかかった所で部屋を見上げる。

いつも歩いて帰宅するときは、自然に顔は上を向いてしまう。

見上げる理由なんて分かってる。

確認する部屋だって決まってる。

忍の部屋と……俺の部屋

どちらに忍がいてもつい顔が綻んでしまう。




今日は……忍が俺の部屋に来ている。


ヤバイな、部屋に入るまでにこのニヤけた顔をどうにかせんと。

「忍〜？来てるのか？」

来てるのか、なんて聞かなくても分かってるけど呼ぶといつも出迎えに忍が来るから。

新婚みたいだなとかバカなことを考えてみたりもした。

普段笑わない忍が嬉しそうに来るのが可愛くてたまらない。

いつからこんな家庭の温かさを嬉しく感じるようになったのか。

きっと、それは忍のおかげだろう。
いつの間にか、俺の中に入ってきて散々荒らして、だけど離せないでいる。
俺の中にいることが当たり前になってそれが気持ちいいから。


「忍〜？」


珍しいな。今日は呼んでも一向に姿を表さない。

リビングに入ると、キッチンにたつ忍の姿が見えて、なんだちゃんといるじゃないかとホッと息をつく。

未だに後ろ姿の忍に声をかけると様子が変だった。


「忍、どうしたんだ？」

「みやぎぃ〜」


振り向いた忍の顔は涙が流れていて


「どうした忍！？」


泣いているからとりあえずどこかに怪我でもしてるんではないかと見たが、怪我をしている様子はなかった。

でも、まだ涙が止まらない忍は俺の服を掴んでくる。

もしかして、俺が何かをやらかしたのかと思ったら


「宮城っ何で！」

「忍？」


やっぱ俺が何かしたのか？！


「何で…何でたまねぎってこんなに目が痛いんだよ！！」


叫びながら忍が指し示すのはまな板にのったたまねぎのみじん切りのようなもの……


「へ？し、忍ちんが泣いてるのはたまねぎのせい？」

「へ？泣いてなんか……あ、涙出てる。」


自分が泣いてたのに気付き恥ずかしそうに忍は後ろを向いてしまった。


「し〜のぶっ」

「わっ、み、見るなーー！！」


後ろを向いて顔を隠してしまうから


「良かった…」

「宮城？」


もっと俺にからかわれると思ったのか忍は予想外というような反応をした。


「また俺がお前を泣かせたのかと思った」



本当にさっき思った。
俺が忍を傷つけたのではないかと。

忍がいつも側にいることに俺だけが安心していて、こいつのことをしっかりと見れていなかったのではないかと。

涙の理由はなんであれ、俺はお前のそれに弱いんだ。



今の幸せを手放したくないから


もう忍を悲しませたり泣かせたりしたくないから


いつまでも俺の隣で笑っていてほしい。





ＥＮＤ



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「涙のわけ」を読んでいただきありがとうございました！！
タイトル的にはシリアス系にいこうとしたのですが、ギャグに走りました（笑
短編はギャグ・甘率高いです（笑




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