「５年目の恋」 ④

純情テロリスト「５年目の恋」


忍と宮城の突然の別れ。
なにも告げず去っていった忍に宮城は・・・
４年後に、再び忍と出会う。


こんな話の予定。






続きもしくは下に下がってお読みください。

４年――

その月日は俺を強くしてくれると思った。

あんたと離れることが出来ないと思っていた俺が
４年も離れていられるなんて

だから、もう大丈夫だと思った。

俺はあんたなしでも…―――




『５年目の恋』④




４年前、俺は突然あんたの前から姿を消した。

俺にとっては突然ではなかった。
あんたの知らないとこで離れる準備をしてたから。


４年前、父さんに言われたことから始まった――

突然に家に帰ってこいと言われて、俺は約束が違うと言うことを聞かなかった。

父さんのいう大学に進んだら、４年はあそこに住んでいいって約束したのに。

まだ住み始めたばかりなのに、理由も言わないまま帰ってこいとは勝手すぎる。
暫く反抗してたら、ある日家に呼び出された。

もうこれで最後にしてもらおうと、俺も父さんにいいに言った。

だけど、そこで父さんに言われた言葉に俺は答えを一つしか持っていなかった。



俺には人の人生を崩していい権利なんてないから。


それが、好きなやつなら尚更。


父さんは言った、


『忍、お前…宮城くんに…恋愛感情なんて馳せていないよな』


俺は、何も言葉が出なかった。

この次に父さんの言う言葉が分かっていたから。
何より父さんは家族を大事にしてる。


俺に迷っている時間なんて僅も残ってなんかいない。

考えるのだって馬鹿らしい。

だって答えは一つしかないのだから。



『宮城くんは教育者だ。それに教授という立場もある。』


わかってるよ父さん。

言わなくても



『だが、私は優秀な部下を失ってでもお前の方が大切なんだ…』


もう分かったから、俺のことを考えてのことだってことは分かってる。

俺が我が儘で、宮城の傍を離れようとしなかったから最終手段に出ようとしてるんだろ？

父さんもそんな悲しい顔するなよ。

俺が悪いんだ…


『宮城は関係ない。俺が付きまとってるだけだ、…だから………』



父さんに少しの時間を貰った。


宮城から離れる為の時間を


こんな時間なんて、本当は欲しくもない


宮城と離れるために使う時間なんて



だけど、少しホッとしたのはいつもみたく宮城に会えない時間があり、離れるには十分な時間があった。


父さんのいう期日まで、宮城をこの胸に刻み込むように、宮城の部屋にいた。

なにをするわけでもなく、ただ宮城の部屋にいたかった。



そして俺は宮城から離れた…――




理由も告げず


手紙を残そうなんて、セコいことも考えた

だけど、宮城の教授の地位を守るために離れようとしたなんて知ったらきっと怒るから。


手紙は破り捨てた。



宮城に安心してもらおうとは考えていない。
俺が身を引き、宮城の地位が守られても喜ばないのはわかってる。


寧ろ、俺を憎んでたらどんなにいいか。




４年経ち、日本に戻ってきてすぐに宮城に会ってしまった。


宮城は何も変わっていなかった。


俺を呼ぶ声も


掴まれる腕も


俺のことを想っていることも




俺の中の気持ちもまったく変わってなかった。



久々に会えて嬉しくて


だけど、胸が苦しくて


今すぐ抱きつきたかったけど


全身で否定する自分がいて


俺はこの４年で弱くなっただけだ 。






「５年目の恋」⑤へ



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今回はちょち早めの更新＾＾
忍が学部長を呼ぶのに「父さん」か「親父」かで本気で悩みました（笑
でもやっぱ②と合わせてみました。
忍は海外のガッコに留学してました！！
後設定･･･Σ(°д°)笑




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